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2025.03.13計測器

【絶縁抵抗計】絶縁抵抗計の電圧レンジの設定で迷いませんか?

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電気

電圧レンジの設定で迷いませんか?

  • 絶縁抵抗とは、電気が流れる場所と本来は流れない場所との間に絶縁がどれだけ保たれているかを示すものです。
  • 一般的な絶縁抵抗計は、一つの計器で電圧を切り替えて使われる様になっています。
  • 絶縁抵抗を測定するときに、何ボルトの電圧で測ればいいのだろう?
  • そんな疑問から、測定する電圧を変えたときの絶縁抵抗の変化を実験してみました。

測定する電圧を変えたときの絶縁抵抗の変化

  • 【実験】:電気炉の電源回路の絶縁抵抗を、測定電圧をかえて測定しました。
     【実験に使用した絶縁抵抗計】
    型式 2407-01 測定範囲 1~2000MΩ 横河電機製
    測定電圧レンジ:250/500/1000V(3設定切替)
     【被測定機器】
    管状型電気炉 型式:TZF 電源200V CARBLITE製
     1.電気炉の温度を800℃に昇温した後、元電源を切った状態で
     2.電気炉の電源端子とアース端子に、絶縁抵抗計のプローブを接続し
     3.測定電圧を250→500→1000Vと切り替えた時の絶縁抵抗を測定

実験結果から

  • 実験結果から、測定電圧を変えたときの絶縁抵抗は、
     測定電圧が250Vの場合、絶縁抵抗は4.63MΩ
     測定電圧が500Vの場合、絶縁抵抗は2.34MΩ
     測定電圧が1000Vの場合、絶縁抵抗は2.05MΩ となり
  • 測定電圧が高いほど、絶縁抵抗の値は小さくなった。
  • 実は、絶縁物に流れる漏れ電流は、モノの中を貫通する漏れ電流だけでなく、その表面を流れる漏れ電流が合成された電流であり、絶縁抵抗は絶縁物の内部抵抗と表面抵抗から成る抵抗と云えます。
  • また、絶縁抵抗は、掛けた電圧と流れる電流から測定されますが、多くの絶縁物の絶縁抵抗は、今回の実験結果の様に非直線的な変化をします。

絶縁抵抗を安全に、且つ適切に測定するには

  • 電気製品の絶縁抵抗を測る場合は、測定電圧が高すぎると製品に組み込まれた電子部品を破壊してしまう恐れがあります。
    ちなみに、今回の実験では電気炉の取り付けされている機器を破損させないために、予め全て取り外してから測定しました
  • 製品の仕様書には絶縁抵抗に関する測定電圧と抵抗値が記載されている場合がありますので、事前に仕様を確認する事が大切です。
    (絶縁抵抗の記載例:電源端子と設置端子間500V 20MΩ以上
    →この場合、絶縁抵抗計の測定電圧は500Vレンジ以下をお選び下さい)
  • また、一般的な電気機器の絶縁抵抗を検査する場合の推奨測定電圧は JIS C 1302で決められています。機器の定格電圧等を確認して測定電圧を決めてください。
  • 余談ですが、絶縁物の表面抵抗は、その表面状態に左右されまので、機器の周囲温度や湿度によって大きく変わります。
    従って、絶縁抵抗の検査記録には、測定条件として、測定電圧が何ボルトで測定したか、また天候、気温、湿度を併記し、後日誤った判断をしないようにすることをお勧めします。
  • また、ケーブルの線間絶縁抵抗など容量成分が含まれる絶縁抵抗を測る場合は、指示が一旦小さい方向に振れ、その後徐々に戻り、安定するまでに時間が掛かる場合があります。指示の振れがとまってから絶縁抵抗値を読みとって下さい。

関連情報をご紹介します。

  • 「絶縁抵抗計:低い抵抗値を簡単に校正する工夫」の情報はこちらへ>>
  • 「電気量Ⅲ(抵抗)」の校正業務は、こちらへ>>
 
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