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2010.01.13

校正のトピックスNo.30
【長さ計:測定環境は20℃にしないとダメなの?】

NKS流「ためしてガッテン!」

温度が違う現場では長さの測定はどうしたら良いの?

  • 長さ計の校正では、外気温により長さが伸び縮みしたブロックゲージを使って、いきなりマイクロメータを校正した場合、当たり前の事ですが、正しい校正値が得られません。
  • ご存じのように、長さ計を校正する環境は、20℃で管理された場所が望ましいのですが、現実問題として、温度が高かったり、低かったりする現場では、どの程度測定値に影響するのでしょうか?

(実験:1)温度によって測定値がどの位変わる?

    • 35℃にしたブロックゲージを、約20℃の温度に慣らしたマイクロメータを使って、室温が約20℃で測定した時、時間の経過と共に測定値がどの様に変化するか実験しました。
    • 実験1・実験2で使用した標準器と測定器

      標準器:100mmスチール製ブロックゲージ No:010120 ミツトヨ製

      使用した測定器:外側マイクロメータ MDC-125MJ No:75156990 ミツトヨ製

    • 実験1

      最初、35℃にした100mmスチール製のブロックゲージを、マイクロメータで測定した時の時間の経過と測定値の変化を実験

      測定場所の環境:20.6℃ 31%

  • 最初、35℃のブロックゲージを20℃のマイクロメータで測定した場合、15℃の温度差の時は、ブロックゲージの公称値(100mm)と18μmズレていた測定値が、40分経過後、ブロックゲージとマイクロメータがほぼ同じ温度に安定した時、公称値と同じ測定値になることが分かりました。
  • 今回の実験からは、温度慣らしは40分位必要ということが分かりましたが、お客様がどれくらいの正確さ(精度)で測定されるかによって、温度慣らしの時間を決められることをお勧めします。
  • メーカでも、マイクロメータやノギス等の測定工具を校正される場合は、約2時間以上、ブロックゲージや三次元測定器等の精度の高い標準器については、8時間以上を目安に温度慣らしを推奨しています。
  • さて、温度慣らしが必要なことは分かりましたが、実験1の様に、測定時の環境温度が20℃でないと、正しく測定出来ないのでしょうか?

(実験:2)測定環境が、20℃以外ではどうなるの?

    • 測定器と被測定物の両方を20℃以外の温度で慣らし、各々の環境温度で測った時の測定値はどうなるのか、実験をしてみました。
    • 実験2

      測定する部屋の温度を変化させてマイクロメータで100mmスチール製ブロックゲージを測定した時の測定値

      (温度慣らし時間は、各温度とも90分です)

    • 実験から、環境が20℃以外の場合は、温度慣らしを行うことで、ブロックゲージの公称値(100mm)に近づきますが、温度が10℃変わると約1μm程度、公称値とズレることが分かりました。
    • ちなみに、実験に使ったブロックゲージとマイクロメータの主要な部分の熱膨張係数(メーカー仕様)は、次の通りです。

 

 実験1・2の結果から見えたこと

  • 今回の実験から、現場でマイクロメータを使って被測定物の長さを測る場合には、温度慣らしが正確さの一つの鍵になること。
  • また、測定器と被測定物の熱膨張係数が違うと、測定値にある程度、影響することから、どれくらいの正確さで測定するかによって、環境温度も考慮することが、もう一つの鍵になると分かりました。
  • 従って、環境温度をぴったり20℃で管理することは現実的に無理がありますので、どれくらいの正確さ(精度)で測定するかによって、許容できる範囲の環境温度で測定器と被測定物を慣らしてから、測定されることをお勧めします。
  • 今回は、同じ様な材質(スチール)のブロックゲージとマイクロメータで実験しましたが、次回は、材質の違うセラミックのブロックゲージをマイクロメータで測定したらどうなるのかをお届けします。

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