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TOPICS

2009.04.10

ガラス製温度計の管理はどの様にされていますか?

校正から見た「計測器の管理」

NKSの失敗

事象 経過
事象① ガラス製温度計(90~150℃)の校正時に、液切れを直そうとして破損させた
  • ①6本中4本の液切れを確認した
  • ②お客様に報告したら、「液切れを直して欲しい」との依頼を受けた
  • ③軽度と判断し、10℃ずつ温度を上げて液切れを直そうとしている途中で上部膨張室が破損
事象②
  • ①二重管温度計(0~50℃)の目盛板受けにヒビが入っているのに気づかず、校正後お客様に報告した
  • ②幸い、二重管温度計の破損は免れた
  • ①受入時に液切れの確認は行った
  • ②目盛板受けの部分にキズの様な物が見えたが、光線の具合による反射と思った
  • ③小さなキズを見逃し、校正のための加温によりヒビが拡がった
  • ④校正後の最終確認時に、目盛板受けの部分にヒビが入っているのが分かり、お客様に報告した

ガラス製温度計の特性を知ろう

    • ガラス製温度計の材料は「ガラス
      • 構造(右図参照)
      • 僅かな衝撃や振動で、感温液の液切れを起こしやすい
    • 破損に繋がる可能性が高い
      • ガラス管や球部に小さなヒビやキズが出来易い
      • 加熱すると亀裂が拡がる
    • 搬送中の衝撃などでは当然、破損しやすい、非常にデリケートな計量器

校正する前に

校正する折りは、液切れしていないことを確かめなければいけません。

液切れする理由

  • ガラス内部に含まれていたアルカリ成分が付着することが考えられます。
    • ガラスに含まれるアルカリ成分が溶け出し、経年変化と共に球部、毛細管内に付着して、球部や毛細管が細くなります。
  • 水銀の酸化が考えられます。
    • 毛細管に不活性ガスを封入していますが、それでも僅かに混入している酸素によって、水銀の一番上のところが長期間一定位置にあると、その部分が酸化して、酸化物が付着します。
  • 球部や毛細管が細くなったり、水銀に酸化物が付着することが、液切れになる原因です。

    (人間でいえば、毛細血管が細くなって引き起こす、脳梗塞や心筋梗塞と同じ状態です。)

液切れを防ぐ方法

  • 月に一度は温度を上げて、水銀を動かす必要が有ります。
    • 但し、温度の上げすぎに、ご注意下さい。
    • 購入してから長期間使用せずに保管し、計量法で定められた3年毎の検査をされているとしたら、水銀を酸化させる最大の要因になります。

ガラス製温度計を保管する時の注意点

  • 「液切れを起こさない」事が保管のコツ
  • 球部を下にして立てるか、または斜めにして保管
  • 横にしての保管は、液切れを起こしやすい

失敗から気づいたガラス製温度計の校正のあり方

  • 搬送中のトラブルを防ぐために、原則、お客様の現場で校正します。
  • 下記の受入検査項目をチェックし、不具合があれば、校正を中止します。
    • ガラスの状態
    • 感温液の状態
    • 目盛線の状態
  • 不具合が発見されたら、すぐにお客様へ状況を説明させて頂きます。

ガラス製温度計の管理の注意事項

  • 感温液を液切れさせない。
  • ガラス管や球部に破損やヒビを入れさせない。
  • 衝撃を与えない事が大切。
  • 一度、液切れしたガラス製温度計は、再度液切れし易いため、標準器としては不向きです。

関連情報をご紹介します。

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