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2025.03.27規格

「 変更 」と「 管理 」について考えてみました

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適格性評価(クオリフィケーション)

「 変更 」とその「 管理 」について掘り下げて考えてみました

前回、" 変更時の再?バリデーション、なにをするの? "で、製造工程においてなにかを変更した場合、具体的にどんな対応が必要なのか、一つの考え方を提示しました。しかし、考えている間にもう少し「 変更 」とその「 管理 」について掘り下げてみたくなりました。

そこで、今回は 変更 とその 管理 を「 ISO9001 」および「 GMP省令 」、そして「 GMP指摘(オレンジレター) 」から考えてみたいと思います。

ISO9001およびGMP省令では「 変更の管理 」はどのように言われているの?

「 変更の管理 」の意味を「 ISO9001:2015 品質マネジメントシステム-要求事項 」および「 GMP省令 」から確認してみます。

■ ISO9001:2015の変更管理

・・・前略・・・

8.5.6 変更の管理

組織は、製造叉はサービス提供に関する変更を、要求事項への継続的な適合を確実にするために必要な程度まで、レビューし、管理しなければならない。
組織は、変更のレビューの結果、変更を正式に許可した人(叉は人々)及びレビューから生じた必要な処置を記載した、文書化した情報を保持しなければならない。

・・・後略・・・

日本産業規格 JIS Q 9001:2015(ISO 9001:2015)品質マネジメントシステム−要求事項

これをみると、変更の管理においては「 レビュー 」することが重要だとわかります。では、「 レビュー 」とはなんでしょうか?「 ISO9000:2015 品質マネジメントシステム-基本および用語 」で以下の定義がされています。

・・・前略・・・

3.11.2
レビュー(review)

設定された目標(3.7.1)を達成するための対象(3.6.1)の適切性、妥当性叉は有効性(3.7.11)の確定(3.11.1)。

例 マネジメントレビュー、設計・開発(3.4.8)のレビュー、顧客(3.2.4)要求事項(3.6.4)のレビュー、是正処置(3.12.2)のレビュー、同等性レビュー
注記 レビューには、効率(3.7.10)の確定を含むこともある。

・・・後略・・・

日本産業規格 JIS Q 9000:2015 (ISO 9000:2015)品質マネジメントシステム−基本及び用語

レビューで求められる、「 適格性 」「 妥当性 」「 有効性 」を確定するためには、管理の方式及び程度を「 リスクに基づいて考える 」必要があります。具体的には、変更に伴うリスクの「 識別 」「 分析 」「 評価 」などをして意思決定を行う(リスクベースドアプローチ)ことと考えます。

■ GMP省令の変更の管理

・・・前略・・・

22. 第14条(変更の管理)関係

( 1 )医薬品の製造業者等の製造所において原料、資材若しくは製品(中間製品を含む。)の規格叉は製造所の構造設備、手順、工程等について変更(原料等の供給者叉は外部委託業者を変更する場合を含む。以下同じ。)を行おうとする場合にあらかじめ指定した者に行わせる業務について規定するものであること。あらかじめ指定した者については、変更を行おうとする原料、資材若しくは製品(中間製品を含む。)の規格叉は製造所の構造設備、手順、工程等に関して熟知している職員を当該変更の管理の責任者としてあらかじめ指定し、その職責及び権限を含め、GMP省令第6条第4項の規定による文書に適切に定めておくことが求められる。

・・・後略・・・

医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の一部改正について(薬生監麻発0428第2号令和3年4月28日)

ここでの「 変更 」の対象はなんでしょうか?
結構具体的に示されています。
・原料、資材若しくは製品(中間製品を含む)の規格
・製造所の構造設備、手順、工程等(原料等の供給者又は外部委託業者を変更する場合を含む)

さらに、「 変更時のバリデーション 」としても詳しく説明されています。

・・・前略・・・

⑤ 変更時のバリデーション

設備、装置若しくはシステム、製造工程(使用する原料等を含む。)、洗浄作業作業に用いる洗浄剤、器具等を含む。)又は試験検査の方法について、製品品質(繰返し製造時の再現性を含む。)に大きな影響を及ぼす変更がある場合(GMP省令第 13 条第1項第1号ロ及び第 41 条第1項第1号ロの場合)において、同令第 14 条又は第 42 条 に規定する変更の管理の一環として、あらためて適格性評価、プロセスバリデーション又は洗浄バリデーションを行う。変更時のバリデーションを行う範囲については、その変更が製品品質に及ぼす影響の内容等を踏まえ、製造業者等が定めるものであり、例えば次に掲げる変更が考えられるが、これらの変更のみに限定されるものではない 。

・・・後略・・・

医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の一部改正について(薬生監麻発0428第2号令和3年4月28日)

ここでも、変更による影響の有無やその程度・範囲は、その変更の内容を元に、リスクを査定して問題のないことを明確に確認することと読み解けます。

ISO9001:2015 品質マネジメントシステム-要求事項での「 変更の管理 」、GMP省令での「 変更の管理 」とどちらの規格でも「 変更の管理 」は重要な要求事項となっているようです。

ここで「 変更の管理 」にかかわるオレンジレターがありましたので見てみたいと思います。

オレンジレター「 変更管理の要否の判断について 」

PMDA((独)医薬品医療機器総合機構)のGMP指摘事例速報〈ORANGE Letter〉の2024年6月 No.14には“変更管理の要否の判断について”が発行されています。
https://www.pmda.go.jp/review-services/gmp-qms-gctp/gmp/0011.html(GMP指摘事例速報(オレンジレター)一覧 参照 No.14 2024年6月)

PMDA((独)医薬品医療機器総合機構)のGMP指摘事例速報(オレンジレター)一覧の2024年6月 No.14

この2024年6月 No.14は、「 担当部門のみで、変更管理を不要と判断した事例 」になっています。

この事例にはいくつかの問題点やリスクが潜んでいますが、本質的なところとして「 形だけの変更管理 」つまり想定内の意図した変化(変更点)だけで判断(意思決定)してしまった事に感じました。品質リスクに対する査定の際に必要な書類の不足や確認不足もあったのかもしれません。

GMP省令(ISO9001も同じ)では予期しない、意図しない変化(変化点)の可能性を注意深く観察・確認することも求められていると考えます。そのプロセスのあらゆる要素の「 変化点( = 5MおよびINPUT、OUTPUTが変化したとき )」の把握・確認のため、変更時のバリデーション(特に再適格性評価)はとても重要と考えます。

5MとはMan(人)、Machine(機械)、Measurement(計測)、Method(方法)、Material(材料)です。

以下の図はISO9001:2015で推奨される「 プロセスアプローチ 」を踏まえて変化点の要素を可視化してみたものです。

「変更管理」を読み解いた結果、こんなふうにまとめてみました

一般的な言葉の定義、「 ISO9001 」および「 GMP省令 」の要求事項、「 変更の管理 」にかかわるオレンジレター、それぞれを踏まえできるだけ簡単にまとめてみました。

「 組織内の関連する担当部署および担当者を評価・確定し、そのメンバにより変更の内容を精査し、製品品質への影響を踏まえ、 変更による意図しない変化を含め漏れなくリスクアセスメントを実施して意思決定を行うこと、そして継続的改善(PDCA)によって計画・運用すること 」

ここでは一つの考え方を示しました。

変更管理にも最適な「 校正 」 や「 適格性評価 」をお届けしています

定量的な評価をする「 校正(キャリブレーション) 」や「 適格性評価 」はリスクアセスメント(特にリスクの発見や認識)のための重要な根拠となるのではないでしょうか?
同時に、「 校正(キャリブレーション) 」や「 適格性評価 」により、予想に反したデータが取れ、問題を未然に防ぐ事ができたこともありま す。

このように「 変更の管理 」においても「 校正(キャリブレーション) 」や「 適格性評価 」が重要であることがわかります。エヌケイエスでは様々な「 規格 」や「 生産形態 」を踏まえ、お客様に合ったバリデーション計画書/報告書・適格性評価( IQ / OQ / PQ )・校正(キャリブレーション)を承ります。なお、「 無料オンライン相談会 」からご相談していただくこともできます。

 
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