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COLUMN
コラム
2025.03.14豆知識 / 教養
「ノギスの副尺」デジタルにも負けない仕掛けが詰まっています
なぜ、1mmより細かく読む事ができるのですか?
- 新人サービス員の教育などでアナログノギスの目盛の読み方は「 副尺と本尺の目盛がぴったり合っている所を目盛の正面で読む様に 」と教えます。

- 説明をしている際に「 なぜ 1mm 単位の目盛が副尺を使用すると 1mm より細かい値を読む事が出来るようになるのですか? 」と質問がありました。
- デジタル表示で値を細かく読む方法でもなく、拡大鏡で目盛りを大きくさせて読む方法でもないのに、 1mm より細かく読む事ができる不思議な仕掛けです。

- ここで改めてどのような原理か紐解いてみます。
0.1mmまで読める副尺のモデルを作ってみました
- 今回、わかりやすい事例として本尺の9目盛りを10等分した副尺を使って説明します。
- この時、本尺の一目盛を1とした場合、副尺の一目盛は 9/10 になります。
- その為、本尺と副尺の一目盛の差は 1 – 9/10 = 1/10 となります。


- いま、副尺の目盛の3の位置で本尺と副尺の目盛が一致しているとした場合、その左隣の本尺と副尺の目盛は 1/10 だけずれます。同様に、その左隣は 2/10 、…とそれを繰り返し、副尺のゼロの位置では 3/10 ずれている事になります。
- 従って、本尺の読みに 0.3( = 3/10 )を加えた値である、 30.3mm となるので、 0.1mm の単位まで細かく読む事ができるようになります。


原理を知ると驚く事ばかりです
- 人の目の癖として、同じ線上に有るのか、ずれているのかは、とても識別しやすいと言われています。
- 値を細かく読む方法として、拡大鏡などを用いて大体 0.3mm と読むのでは無く、人の目の癖を上手く利用した副尺の仕掛けを用いてハッキリ 0.3mm と読む方法を生み出した先人の知恵に、改めて驚きました。また、目盛線の引き方が不均一だと、そもそも副尺は使えなくなるので、同じ線を均等に刻んでいる事に関してもすごい技術と感心しました。
- 今は、デジタルが主流となっていて、副尺の仕組みを知らなくてもノギスを使う事はできますが、校正業者として計測器の原理にも踏み込んで1つ1つの機器を知っていきたいと考えています。

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