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厚生労働省が平成25年8月に発出したバリデーション基準では、医薬品を製造するには、製造に使用する設備や装置のバリデーションを実施しなければならないと要求しています。

このバリデーション基準ではバリデーションの目的を、「医薬品を製造する製造所の構造設備並びに手順、工程その他の製造管理及び品質管理の方法が期待される結果を与えることを検証し文書化すること」と決めています。
従って、実際の医薬品製造の現場ではこの目的を確実に達成する必要があります。

では、バリデーションでは何を実施したら良いかを知るために、もう少し詳しく規格要求を見てみます。

医薬品製造(製剤)で求められているバリデーションで実施すること

バリデーションの実施では、大きく5つのことを実施するよう求めています。

  1. 適格性評価
    ①設計時適格性評価(DQ)
    ②設備据付度適格性評価(IQ)
    ③運転時適格性評価(OQ)
    ④性能適格性評価(PQ)
  2. プロセスバリデーション(PV)
  3. 洗浄バリデーション
  4. 再バリデーション
  5. 変更時のバリデーション
医薬品製造(製剤)で求められているバリデーションで実施すること

そして、このバリデーションの実施には、あらかじめ、バリデーション実施計画書を作成することも求めています。

実際の現場では、この5つのことをキチンと実施する必要がありますが、この規格要求を読んで、理解して、現場で具体的にどのように実施していったらよいかを明確にするのは相当大変な作業だと容易に想像できると考えます。

現場でバリデーションを実施するには、規格要求を読み解くことが重要

実際の現場で規格要求をキチンと実現するにはどうすればよいのでしょうか。
それは、それぞれの規格要求を読み解き実施レベル、作業レベルまで落とし込む必要があります。

例えば、適格性評価の③運転時時適格性評価(OQ)では…

「設備、システム又は装置が、予期した運転範囲で意図したように作動することを確認し、文書化することをいう。
校正された計測器を使用すること」と要求しています。

たったこの2行から、現場でどのように実施するかを決める読み解きが重要になります。
どこも開示していない、当社ならではの読み解き方の1つをご紹介します。

運転時適格性評価(OQ)の読み解き方

適格性評価の③運転時時適格性評価(OQ)の要求内容

設備、システム又は装置が、予期した運転範囲で意図したように作動することを確認し、文書化することをいう。
校正された計測器を使用すること

ここで注目する言葉は、

  1. 予期した運転範囲
  2. 意図したように作動すること
  3. 校正された計測器

の3つの言葉です。では、それぞれを読み解いていきましょう。

01.予期した運転範囲

設備、システム、装置の「予期した運転範囲」とは、設計時に決めた正常に運転できる範囲と考えれば良いと思います。
言い換えれば、この設備、装置は、この範囲内で運転してくださいと指示されている範囲と言うことになります。

市販されている設備、システムや装置では、メーカが運転を保証する範囲を決めていて仕様書として公開されているのが一般的です。その範囲が予期した運転範囲と考えます。
例えば、冷蔵庫の場合では、仕様書に冷却性能範囲「〇~〇℃」と書かれていますので この範囲が予期した運転範囲と考えれば良いことになります。

予期した運転範囲

02.意図したように作動すること

当たり前ですが、設備、システムや装置は思い通りキチンと動くことが必要になりますので思いどおりの内容が意図したことと考えれば良いと思います。
20℃±3℃以内の温度で動くことを意図しているのであれば、±3℃の範囲内で動かなければならないということになります。
先ほどの冷蔵庫の例であれば、仕様書などで意図した範囲で動くことを確認して選定するわけですので予期した運転範囲と同様に、その仕様書に記載されている±〇℃が意図した数値になります。

02.意図したように作動すること

03.校正された計測器

この基準で「校正」とは、「必要とされる精度を考慮し、適切な標準器や標準資料等を用いて製造行為中に使用される計測器の表す値と真の値との関係を求めることをいう。」と定義されていますので、校正された計測器とはこの定義に従って関係が求められた計測器と考えれば良いことになります。
この定義を詳しく読み解くには3つの言葉に注目して考える必要があります。

  1. 「必要とされている精度」は製造品質上、対象となる計測器に求める精度の値であり
  2. 「適切な標準器や標準試料等」は国際基準、国家基準までのトレーサビリティと対象となる計測器に求める精度の1/3~1/10の精度が担保されていることで
  3. 「製造行為中に使用される計測器」は製造品質上、管理(コントロール)が必要な物理量の値を表す計測器と読み解くことができます。

このように、運転時適格性の評価(OQ)を読み解くと、OQでは設備、システム又は装置に記載されている仕様をキチンと校正された計測器で確認すれば良いということになります。

ここでは、バリデーション基準の③運転時時適格性評価(OQ)を記しましたが、実際には1~5までのバリデーションの要求をキチンと読み解く必要があります。

しかし、この読み解きによって、現場で何をどの様に実施していくかがはっきりしてきても、実際に実施しようとすると様々な課題が生ずることが多くて悩みに尽きないと考えます。

医薬品製造(製剤)における悩み事(関心事)と原因(背景)

医薬品の製造現場でのバリデーションの実務には多くの悩み事があります

医薬品の製造現場でのバリデーションの実務には多くの悩み事があります

医薬品製造の現場でバリデーションを実際に実施する時には多くの悩みごとがあると思います。
「自社でもこんな悩み事があるなー…」と思われるのではないでしょうか。

悩み事やその悩み事が発生する状況を考えてみました。

GMPが要求するバリデーション作業の具体化策に不安がある

GMPが要求するバリデーション基準では、バリデーションとして適格性の評価を実施しなさい。
プロセスバリデーションを実施しなさい等と具体的に何をどの様に実施したら良いか分からないため実際バリデーションを現場で進めようとすると多くの悩み事が生まれてくると考えられます。

バリデーションの知識・技能に不得手な部分があるため、全体の作業品質がアップしない

医薬品を製造する設備・装置は、「培養タンク」「充填機」「打錠機」「包装機」等々多種多様な設備が使われています。
これらすべての設備のバリデーションを実施しようとすると数限りない知識や経験が必要と思います。
知識不足な設備のバリデーションは評価項目に漏れがあったり、標準器の取付が不十分だったり等実施レベルが低くなることも考えられ、全てのバリデーションを高品質に実施するには限りがあると考えられれます。

バリデーションの知識・技能に不得手な部分があるため、全体の作業品質がアップしない

医薬品を製造する設備・装置は、「培養タンク」「充填機」「打錠機」「包装機」等々多種多様な設備が使われています。
これらすべての設備のバリデーションを実施しようとすると数限りない知識や経験が必要と思います。
知識不足な設備のバリデーションは評価項目に漏れがあったり、標準器の取付が不十分だったり等実施レベルが低くなることも考えられ、全てのバリデーションを高品質に実施するには限りがあると考えられれます。

バリデーションを理解し、バリデーション作業が出来る人材が限られている

バリデーションを実施するには、作業に関わることだけをとっても、計画書を作成したり、キャリブレーションを行ったり、DQ・IQ・OQ・PQの適格性評価を実施しなければなりません。
それらの作業を現場で確実に実施するには多くの知識が必要になり、多くの人材を育成できないことは容易に想像できます。そのため、どうしても人材が限られてしまいます。

特定の担当者に作業の負担が偏って、残業時間が増加してしまう

医薬品などを製造する現場では、予測的なバリデーション、定期的なバリデーションや変更時のバリデーションなどを実施しなければ生産が開始できません。当然、限られた人材で作業を実施しようとすると偏りや残業時間の増加などが発生してしまいます。

バリデーションを委託できる専門企業がない

バリデーションを外部に委託しようとしても、色々な設備や装置などを専門的に実施している企業はなかなか見つからないのが現状と思います。

…等々の悩み事があると思います。

現場でバリデーションを担当する当社にも、このような様々な悩み事の相談を受けることがありますのでこれらの悩み事はどのような原因や背景で発生しているか考えてみました。

バリデーション実務での悩み事の原因

会社それぞれに環境や状況は当然違いますが、これらの悩み事が生じる原因を想定すると…

バリデーションを委託できる専門企業がない

バリデーションを外部に委託しようとしても、色々な設備や装置などを専門的に実施している企業はなかなか見つからないのが現状と思います。

バリデーション実務の知識不足

医薬品製造で現場視点でのバリデーションの実務知識を知りたいと思っても、適当な教育機関や教育本がないのが現状だと思います。

バリデーションの作業に関しての技術不足

バリデーション作業に必要な技術は、電気・物理や計装や評価作業に対する規格の知識など結構多くの技術が必要で全ての技術を習得することが難しい。

人材不足

医薬品を製造するにはバリデーションが必要だが、直接、生産する作業でないため、最低限の人材でしか確保できない。

…が主な原因でないかと考えます。

解決策はバリデーション実務の外部委託

現場に寄り添ってきた当社だからこそ、ご提案できる解決策があります。 お悩み解決のために、外部委託を検討されてはいかがでしょうか。

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