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TOPICS
業務に活える校正技術情報
2024.10.03
NKSメールマガジン No.24
▶以前、お客様から 「 バリデーションの流れと校正(キャリブレーション)の関係を分かりやすく説明する資料はありませんか? 」 とのご相談をいただき、かなり苦戦をしながら図式化したことがありました(⇒ 「 第631号 バリデーションの流れと校正(キャリブレーション)の関係がパッと見てわかる! 」 )。
先日、そのお客様より 「 実生産に入ってからの校正やバリデーションの流れはどうなんでしょうか? 」 とのご質問がありました。その図を見直して見ると、製造設備の開発から試運転までの流れとなっており、実生産に入ってからはどうような流れになるのかわかりませんでした。
⇒ そこで、今回は 「 製造設備のライフサイクル的な要素を入れて図式のブラッシュアップ 」 を考えてみたいと思います。
▶ 「 校正 」 や 「 バリデーション 」 は設備導入時の対応に注目が集まりがちですが、実生産にはいってから、その設備が廃棄される直前まで繰り返し行うことになります。とりあえず、その 「 再校正 」 と 「 再バリデーション 」 の意味を規格を基に考えてみましょう。
再校正
JIS Q 9001:2015(ISO 9001:2015)品質マネジメントシステム−要求事項に 「 再校正 」 という言葉は使われていませんが、7.1.5.2 測定のトレーサビリティには、定められた間隔で校正や検証を行うことと記されており、繰り返し再度行うという意味でここでは 「 再校正 」 と呼びます( 各関連する仕様が変わらない限り基本的に同じ条件で 「 校正 」 を繰り返す、という重要な意味も 「 再校正 」 に含めています )。
・・・前略・・・
7.1.5.2 測定のトレーサビリティ
測定のトレーサビリティが要求事項となっている場合,又は組織がそれを測定結果の妥当性に信頼を与えるための不可欠な要素とみなす場合には,測定機器は,次の事項を満たさなければならない。
a) 定められた間隔で又は使用前に,国際計量標準又は国家計量標準に対してトレーサブルである計量標準に照らして校正若しくは検証,又はそれらの両方を行う。そのような標準が存在しない場合には,校正又は検証に用いたよりどころを,文書化した情報として保持する。
b) それらの状態を明確にするために識別を行う。
c) 校正の状態及びそれ以降の測定結果が無効になってしまうような調整,損傷又は劣化から保護する。 測定機器が意図した目的に適していないことが判明した場合,組織は,それまでに測定した結果の妥当性を損なうものであるか否かを明確にし,必要に応じて,適切な処置をとらなければならない。
・・・後略・・・
JIS Q 9001:2015(ISO 9001:2015)品質マネジメントシステム-要求事項
再バリデーション
「 GMP省令 」 では 「 再バリデーション 」 は以下のように定義されています。
・・・前略・・・
④ 再バリデーション
設備、装置若しくはシステム、製造工程、洗浄作業又は試験検査の方法が、据付時に検証され、管理された状態を維持している旨を再確認するため、定期的に適格性評価、プロセスバリデーション又は洗浄バリデーションを行う。
再バリデーションを行う必要性、時期(タイミング)及び項目については、その設備、装置若しくはシステム、製造工程、洗浄作業又は試験検査に係る製品の製造頻度のほか、医薬品に係る製品にあってはGMP省令第11条の2第1項第4号及び第21条の2第1項第4号の規定による安定性モタリングの評価、同令第11条の3第1項第1の定による製品品質の照査等の結果を踏まえ、製造業者等が定めるものであること。なお、例えば、無菌性保証のための培地充填試験のように、製品品質に大きな影響を及ぼす設備、装置若しくはシステム、製造工程、洗浄作業又は試験検査方法について検証する再バリデーションは、製品品質の照査等の結果によらず、定期的に行うことが求められる。
・・・後略・・・
医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の一部改正について(薬生監麻発0428第2号令和3年4月28日)
⇒ このように、 検討事項や作業量が多く、設備導入時の対応に注目されがちですが、適切に管理された状態を維持していることを再確認していくことは、規格にも記載があるとおり、実生産段階でも「 再校正 」「 再バリデーション 」 が重要なことがわかります。それは、長期にわたる実生産だからこそ非常に重要とも言えるのではないでしょうか。
▶お客様のご希望を踏まえ、 「 実生産 」 までの製造設備のライフサイクル的な要素を入れてみました。
「 再バリデーション 」 については、この図の中では、再バリデーションの中の 「 再適格性評価 」 という言葉で表現しています。これは製造設備( GMPハード )に焦点を当てているためです( PIC/S GMPには 「 RE-QUALIFICATION 」 と記述されています )。
規格に記載されている 「 定められた間隔 」 とか 「 定期的 」 のタイミングは、定期保全で製造設備が定期に停止すること、そしてそれは 「 バリデートされた状態でなくなるタイミング 」 であることでもあり、「 製造設備( GMPハード )の定期保全 」が最適であると考えました。なお、定期保全の周期の多くは1年(あるいは2年)が多いようです。
ここでは一つの考え方を示しました。参考になれば幸いです。
▶このように 「 実生産 」 においても多くの 「 校正( キャリブレーション ) 」 と 「 適格性評価 」 が必要になることがわかります。
リスクとコストのバランスを考えながら 「 再バリデーション 」 でなにをどのように実施していくのか、それぞれの現場に合った最適な方法を考えてみてはいかがでしょうか。
エヌケイエスでは様々な 「 規格 」 や 「 生産形態 」 、「 製造設備のライフサイクル 」を踏まえ、お客様に合ったバリデーション計画書/報告書・適格性評価( IQ/OQ/PQ )・校正( キャリブレーション )を承ります。
なお、 「 無料オンライン相談会 」 からご相談していただくこともできます。