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2010.02.03

校正のトピックスNo.33
【電子天秤:ウォーミング時間は必要なの?】

NKS流「ためしてガッテン!」

電気的な測定器の温度慣らしは?

  • 前回までは、マイクロメータやブロックゲージのような機械的な測定器を取り上げ、測定前の温度慣らしが、測定の正確さを決める重要な鍵になることをお伝えしました。
  • 今回は、では電気的な測定器の温度慣らしは、どうなんだろうか?という疑問から、お伝えします。
  • 電気的な測定器の温度慣らしは、一般的にウォーミング時間と呼ばれているものをさすのではないでしょうか。
  • 電子天秤のメーカのHPには、約3時間以上のウォーミング時間が必要と記載されています。
  • そこで今回は、時間が掛かると言われる電子天秤のウォーミングにおけるゼロ点と秤量値の変化を実験しました。

電源投入直後からのゼロ点と秤量値の変化を実験しました

    • 電源投入直後の電子天秤を使って、ゼロ点と500gの分銅を載せた時の秤量値、基板内部の温度の変化を実験しました。
    • 【実験:1】
    • 実験は、

      1)環境温度をほぼ一定にした部屋(22℃60%)で

      2)電子天秤に電源投入後、すぐゼロリセットした

      状態からスタートし

      3)ゼロ点と500gの秤量値及び電気回路が組まれた基板内部の

      温度の変化を測定しました。

    • 実験で使用した測定器

      測定器:電子天秤 XP5003SDR

      測定レンジ:1000g/5000g

      目量:0.001g/0.01g

      許容値:±0.01g

      メーカ:メトラー・トレド(株)

    • 電源投入後、ゼロリセットした電子天秤の

      1)ゼロ点

      2)500gの分銅を載せた秤量値

      3)電子天秤の基板内部の温度

      ウォーミング時間とその変化を実験しました。

      環境温度22℃ 60% 温度・湿度ともほぼ一定にした部屋

ウォーミング時間による測定値の影響は?

  • 【実験:1から】
  • 1)通電開始から140分までは、ゼロ点は0.032g、秤量値は0.039gと大きな変化量でした。
  • 2)140分以降では、ゼロ点は0.006g、秤量値は0.006gと小さな変化量になりました。
  • 3)そこで、基板内部の温度変化を見てみると、140分までは、8.57℃も上昇し続けてましたが、それ以降は、0.49℃とほとんど変化がなくなりました。

電気的な測定器のウォーミング時間とは?

  • 今回の実験を通して、電気的な測定器で測定する場合は、ウォーミング時間をどれだけ行ったかが、測定の正確さの鍵になります。
  • つまり、ウォーミング時間は、通電により電気回路を構成する電子部品の個々の発熱による温度が落ち着くまでの時間と言えます。
  • 従って、最小目盛が1mgの電磁式精密電子天秤を使う場合は、約3時間のウォーミングアップ後に、ゼロリセットと感度校正を行う必要があります。
  • また測定後、ゼロ点が変わっていないことをチェックし、測定値の正しさを確かめることをお勧めします。

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